失敗を減らす!ランニングアプローチで学ぶ“転がし”ショットのコツと練習法
ゴルフのアプローチは、グリーン周りでスコアを大きく左右する重要なショットです。なかでも「ランニングアプローチ(転がし)」は、ミスのリスクを抑えて確実にボールをピンに寄せやすいテクニックとして、初心者から上級者まで多くのゴルファーが取り入れています。
本記事では、ランニングアプローチ(以下、「転がし」と表記することもあります)とはどのようなショットなのか、そのメリットや失敗を減らすためのコツ、そして具体的な練習法をわかりやすく解説します。さらに、他のアプローチショットとの比較を表にまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

目次
- ランニングアプローチ(転がし)とは?
- ランニングアプローチのメリットと特徴
- 他のアプローチショットとの比較表
- 転がしショットを成功させるための基本セットアップ
- クラブ選択のポイント
- 失敗を減らすための打ち方のコツ
- 初心者におすすめの練習法
- まとめ:ランニングアプローチでアプローチを安定させよう
1. ランニングアプローチ(転がし)とは?
ランニングアプローチは、グリーン周りのアプローチショットの一種で、ボールを高く上げるのではなく、比較的低い弾道で打ち出して転がしながらピンに寄せる方法です。英語では「Chip & Run(チップ・アンド・ラン)」と呼ばれることもあり、転がしアプローチとも表現されます。
- 狙い:キャリー(空中にある距離)を短くし、ラン(地上を転がる距離)を活かしてピンに寄せる
- 使用クラブ:主にショートアイアン(9番やPW)やアプローチウェッジ(AW)などを使うことが多い
- メリット:空中にいる時間が短い分、ミスヒット時のブレが少なく、距離感がつかみやすい
2. ランニングアプローチのメリットと特徴
(1) ミスのリスクが少ない
高く上げるショット(ピッチショットやロブショット)は、スイングのミスやダフリ・トップが発生すると大きなミスにつながりやすいです。一方、ランニングアプローチは打ち出し角が低く、わずかなダフリやトップでも大ケガになりにくいというメリットがあります。
(2) 距離感をつかみやすい
空中にボールを長く浮かせるよりも、転がしのほうが距離の計算がシンプルです。慣れてくると、「振り幅○○で、キャリーが数ヤード、その後ランが○○ヤード」といった感覚をつかみやすく、結果的にスコアアップに直結します。
(3) 芝の状態に左右されにくい
ロブショットなどは、芝が柔らかい、砂が多い、ライが悪いなどの状況でミスが出やすいですが、ランニングアプローチはボールを大きく上げないため、ライの影響を受けにくいです。ただし、グリーン周りのアンジュレーション(傾斜)や芝目はある程度考慮する必要があります。
3. 他のアプローチショットとの比較表
ランニングアプローチ以外にも、ピッチショットやロブショットなど、さまざまなアプローチがあります。ここでは代表的なショットとの違いを比較表にまとめました。
アプローチ種類 | 弾道 | 空中時間 | ラン (転がり) | 難易度 | 使用クラブ例 |
---|---|---|---|---|---|
ランニングアプローチ | 低め | 短い | 多い | 低〜中 | 9I, PW, AW |
ピッチショット | 中程度 | 中程度 | 中程度 | 中〜高 | AW, SW |
ロブショット | 高め | 長い | 少ない | 高 | LW, SW(フェース開き) |
- ランニングアプローチ:最も転がしが多く、弾道が低め。初心者におすすめ。
- ピッチショット:キャリーとランのバランス型。
- ロブショット:高く上げて止めたいときに使うが、難易度は高い。
4. 転がしショットを成功させるための基本セットアップ
(1) グリップとアドレス
- グリップ:通常のアイアングリップでOK。あまり強く握らず、ソフトに握ることで微妙な感覚を得やすい。
- スタンス:足幅は狭め(腰幅程度)にし、オープンスタンス気味に構えるのがおすすめ。
- ボール位置:スタンスの中央、またはやや右足寄り。これにより、打ち出し角が低くなり転がしやすい。
- 体重配分:左足体重(6:4~7:3くらい)にして、ダフリを防止。
(2) クラブの選択
- ロフトが小さいクラブ(9番アイアンやPW、AW)を使うと転がしやすい。
- ウェッジ(SWやLW)はロフトが大きいため、球が上がりすぎてランが出にくい場合が多い。
(3) スイングのイメージ
- 肩の回転をメインに、小さな振り幅で“パターのように”ストローク。
- 手首のコックを最小限に抑え、クラブフェースを一定に保つ。
- インパクトでリーディングエッジを刺さないように、ソールを滑らせる感覚。
5. クラブ選択のポイント
ランニングアプローチでは、ロフトの大きいクラブを使うとボールが高く上がりすぎてしまい、転がりが少なくなります。そこで、ロフトが小さめ(35~48度程度)のクラブが適しています。
クラブ | ロフト目安 | 特徴 | 用途 |
---|---|---|---|
9番アイアン | 38~42° | 打ち出しが低く、よく転がる | グリーンエッジからの長い転がし |
PW (ピッチング) | 44~48° | 中くらいの高さで程よく転がる | 汎用的なランニングアプローチ |
AW (アプローチ) | 50~52° | やや上がりやすいが転がしも可能 | 中距離アプローチの転がし |
- 9I:最も転がりが多く、遠くからのランニングに向く。
- PW:アイアンセットに含まれていることが多く、初心者はまずこれで練習するとよい。
- AW:少し高さを出したいときに選択。ただしロフトが大きくなると転がりは減る。
6. 失敗を減らすための打ち方のコツ
(1) ハンドファーストを意識しすぎない
ダウンスイングでハンドファーストになりすぎると、リーディングエッジが地面に刺さりやすく、ダフリやトップの原因になります。適度に手元が先行するイメージは大事ですが、極端なハンドファーストは避けましょう。
(2) 上半身とクラブを一体に動かす
腕だけで振ると、手首が余計に動いてインパクト時のフェース角度が不安定になります。肩や胸をメインに回転させ、パターのように一体感のあるストロークを心がけると、ミスが減ります。
(3) テークバックは小さめ、フォローで調整
ランニングアプローチでは、大きくスイングしてしまうとコントロールが難しくなります。テークバックは小さめにし、フォロー側でスイングの大きさをコントロールするイメージで、振り幅全体を一定にすることが大切です。
(4) 芝の状況を読む
芝が長い、逆目(芝がこちらに向かって生えている)、または下り傾斜など、状況によって転がり具合が変わります。最初は難しいかもしれませんが、練習場や実際のコースで色々なライを試して経験を積むと良いでしょう。
7. 初心者におすすめの練習法
(1) 転がし練習ドリル(アプローチマットやパターマットでも可)
- **短い距離(5ヤード程度)**から始め、ボールを転がして狙った場所に止める練習をする。
- クラブはPWや9Iを使用。
- スイング幅を変えながら、転がる距離をチェック。
- 慣れてきたら距離を徐々に伸ばしていき、15ヤード、20ヤードと目標を変えてみる。
(2) 距離別の振り幅ドリル
- 目的:一定の振り幅で打ったときに、どのくらい転がるかを把握する
- やり方:
- 「腰までのスイング」「肩までのスイング」など、振り幅を決める。
- 同じスイング幅で複数球を打ち、キャリーとランの合計距離をメモする。
- クラブを変えて同じことを行い、転がり具合の違いを比較。
(3) 実戦形式のアプローチ練習
- 練習場のアプローチエリアや、コースの空き時間などを利用し、実際にピンを狙う形で練習。
- ターゲットを複数設定し、球を転がして寄せる感覚を養う。
- 傾斜や芝の状態によって転がりが変わるため、様々なライで打つ経験を積む。
まとめ:ランニングアプローチでアプローチを安定させよう
ランニングアプローチ(転がし)は、初心者にとって最も失敗が少ないアプローチショットの一つです。ボールを高く上げるショットに比べ、空中時間が短く、転がしをメインに使うことで距離感をつかみやすいのが大きなメリット。
- メリット:
- ミスのリスクが少ない
- 距離感を把握しやすい
- ライの影響を受けにくい
- 失敗を減らすコツ:
- 小さめのテークバックで肩主導のストローク
- ハンドファーストを意識しすぎず、ソールを滑らせる
- ロフトの小さいクラブ(9I、PW、AWなど)を活用
- おすすめ練習法:
- 短い距離から転がしを体感するドリル
- 振り幅別に転がり距離を記録して覚える
- 実戦形式でピンを狙いながら練習
まずは、手元にある9IやPWでランニングアプローチを試してみましょう。小さな振り幅でボールを転がす感覚を身につければ、グリーン周りのアプローチで大きくスコアを崩すことが減るはずです。初心者のうちからこの技術を習得しておくと、コースデビュー後も安心してグリーン周りに立ち向かえます。
「転がし」をマスターして、アプローチの失敗を減らし、スコアアップにつなげていきましょう!
