現代アプローチの新常識!ハンドレイト?スクエアスタンス?
ゴルフのアプローチショットといえば、かつてはオープンスタンスでボールを右足寄りに置き、体重を左足にかけてハンドファースト気味に打つスタイルが主流でした。しかし、最近のPGAツアーなどを中心に、スクエアスタンスかつ**ボールを体の中心付近に置き、重心を左右均等(50:50)**にして、ハンドレイトで打つという「フィネスウェッジアプローチ」が注目を集めています。ショートゲーム専門コーチ(いわゆる“ショートゲームシェフ”)たちが推奨するこの新しいアプローチの考え方は、どのようなメリットがあるのでしょうか?
本記事では、旧来のアプローチ方法と「フィネスウェッジアプローチ」の違いを比較しながら、初心者にも分かりやすく解説します。

1. 従来のアプローチ:オープンスタンス&ハンドファースト
1-1. 従来のアプローチの特徴
かつては、アプローチショットで以下のようなセッティングが一般的でした。
- オープンスタンス:足元を開き、左足を引いた構え
- ボール位置は右足寄り:ボールを右足の前に置く
- 左足体重:重心を左足にかける
- ハンドファースト:手元をボールより前に出し、ロフトをやや立てる
この方法は「上から鋭角に打ち込む」イメージで、スピン量が増えやすく、ボールを低く抑えるメリットがあります。しかし、ミスするとトップやダフリが大きく出たり、距離感が安定しにくい一面もありました。
2. 現代のアプローチ:スクエアスタンス&ハンドレイト
2-1. フィネスウェッジアプローチの基本
最近注目されているフィネスウェッジアプローチでは、以下のようなセッティングが推奨されています。
- スクエアスタンス:足元はオープンにせず、真っすぐ構える
- ボール位置は体の中心付近:左右対称になるようにセット
- 重心は右足左足50:50:左右均等に立つ
- ハンドレイト:手元をボールより前に出しすぎず、むしろシャフトを垂直に近いイメージで構える
- 下半身をあまり使わない:主に腕と肩の動きで振り子のように打つ
「フィネスウェッジアプローチ」では、極端にロフトを立てないので、ボールが上がりやすく、距離感を合わせやすいという特徴があります。
※フィネスウェッジは他にもコーチにより種類が沢山あるそうです。
2-2. PGAツアーでの広がり
PGAツアーで活躍する選手の多くが、アプローチの際にオープンスタンスを大きく取らず、ハンドファーストを強調しすぎない傾向にあります。ショートゲーム専門コーチ(ショートゲームシェフ)が推奨するこの方法は、安定感と再現性を重視しているため、プロのように緻密なコントロールが求められる場面で力を発揮します。
3. 従来のアプローチとフィネスウェッジアプローチの比較
以下の表は、従来のオープンスタンス&ハンドファースト方式と、フィネスウェッジアプローチの主な違いをまとめたものです。
項目 | 従来のアプローチ | フィネスウェッジアプローチ |
---|---|---|
スタンス | オープンスタンス(左足を引く) | スクエアスタンス(両足を平行に) |
ボール位置 | 右足寄り | 体の中心付近 |
重心 | 左足体重 | 右足左足50:50 |
ハンドファースト or レイト | 強めのハンドファースト | ハンドレイト(シャフトを垂直に近いイメージ) |
下半身の使い方 | 左足に乗せながら打ち込む | 下半身をあまり使わず、腕と肩の振り子を重視 |
ボールの高さ | 低めになりやすく、スピン量が増えることもある | 自然にボールが上がりやすく、距離感を合わせやすい |
ミスの出方 | ダフリやトップが大きく出る場合がある | 大きなミスは出にくいが、慣れるまでは距離感に注意 |
4. フィネスウェッジアプローチのメリット
4-1. 再現性と安定感
ハンドレイトで構えることで、過度にロフトを立てず、クラブ本来のロフトを活かしたアプローチが可能になります。さらに、スクエアスタンス&50:50の重心配分により、スイング軌道が安定しやすいのが特徴です。再現性が高まることで、ラウンドを通じて安定したショットが期待できます。
4-2. 距離感のつかみやすさ
従来のオープンスタンス&ハンドファーストのアプローチは、ボールを低く出すには適している反面、強いスピンや低い弾道で距離感が合わないこともありました。一方、フィネスウェッジアプローチは、自然なロフトを活かしてボールがふわっと上がりやすく、キャリーとランのイメージをつかみやすいのがメリットです。
4-3. 下半身への負担が少ない
下半身をあまり使わない分、膝や腰への負担が軽減されます。これは、特にシニアゴルファーや体力に自信のない方にも嬉しいポイントです。
5. 初心者がフィネスウェッジアプローチを身につけるためのステップ
5-1. 基本の構えを確認
- スタンスはスクエア:両足を肩幅程度に開き、目標線に対して平行に立つ
- ボール位置は体の中心付近:左右の足の真ん中にボールがくるようにセット
- 重心は左右50:50:どちらかに偏らないように注意
- ハンドレイト:シャフトは地面に対してほぼ垂直、グリップエンドをボールより大きく先行させない
5-2. 腕と肩の振り子を意識
下半身を大きく使わず、腕と肩でクラブを振る感覚をつかみましょう。練習では、ハーフスイングやクォーターショットを繰り返すと、スイング軌道の安定とボールとのコンタクト精度が高まります。
5-3. 距離感を養う練習
フィネスウェッジアプローチは、弾道が高めでソフトなランを得やすい反面、従来のアプローチよりもキャリーが増える場合があります。自分が打ったときに、キャリーとランがどの程度出るのか、練習場やアプローチ練習エリアで確認することが大切です。
- 目標を複数設定して距離感を比べる
- クラブを変えてみる(サンドウェッジやロブウェッジなど)
- 風やライの状況に応じて微調整する
6. フィネスウェッジアプローチにおける注意点
6-1. スイング幅とテンポ
ハンドレイトで構え、下半身を使わない分、スイング幅やテンポが乱れるとミスショットにつながりやすくなります。初心者は、最初は小さなスイングから慣れ、徐々に振り幅を広げていくと良いでしょう。
6-2. ライの状況に応じた選択
フェアウェイやグリーン周りが平坦な状況ではフィネスウェッジアプローチが有効ですが、深いラフや傾斜の強いライでは、別のアプローチ方法が適している場合もあります。ライに応じてクラブ選択やスタンスをアレンジする柔軟性が必要です。
6-3. 慣れが必要
従来のオープンスタンス&ハンドファーストに慣れている方は、フィネスウェッジアプローチに移行すると最初は距離感や弾道に戸惑うかもしれません。焦らずに練習を重ね、感覚をつかんでいくことが大切です。
まとめ
「フィネスウェッジアプローチ」は、PGAツアーのショートゲーム専門コーチたちが推奨する現代の新しいアプローチ方法として注目を集めています。オープンスタンス&ハンドファーストで打ち込む従来のスタイルと比べ、以下のような特徴があります。
- スクエアスタンスとボールを体の中心付近にセット
- 重心は左右50:50で、過度に左足体重にしない
- ハンドレイトで構え、クラブ本来のロフトを活かす
- 下半身をあまり使わず、腕と肩の振り子でスイング
- ボールが自然に上がりやすく、距離感を合わせやすい
初心者にとっても、再現性の高さや安定感といったメリットが大きいのが魅力です。ただし、深いラフや急斜面などライによっては、従来のアプローチが有効な場面もあります。シチュエーションに応じて使い分ける柔軟性が重要です。
もしあなたがアプローチショットで「方向性が安定しない」「ボールを思ったより上手く上げられない」と悩んでいるなら、ぜひこのフィネスウェッジアプローチを試してみてください。スクエアスタンスとハンドレイトを意識するだけで、驚くほど簡単にミスを減らし、アプローチの精度を高められるかもしれません。ぜひ練習やラウンドで実践してみて、現代アプローチの新常識を体感してみましょう。
